幻庵を読み終えて ~本書をもっと楽しむガイド~

幻庵 上

幻庵 上

 
 
幻庵という人物が囲碁に賭けた人生。
彼を取り巻く時代と碁打ちたちの群像劇。
 
先に言っておきますが、これは傑作です。
楽しむための案内のようなものを書いていこうと思います。
 
まず私の棋力から。
二十級あるかないか(入門レベル)です。
低レベルの詰碁も読みきれません。
(アプリで配信されている詰碁を毎朝解いてますが、
全然先の展開が読めず落胆してます)
むろん、
私には「ツケたら、ここはハネ。じゃ、次は……」なんて会話で棋譜が浮かぶほどの棋力も全くありません。
ですが、私は囲碁の観戦が趣味であります。
 
無理に囲碁を覚えなくても良い
本書を手に取った人は、ほとんどが百田尚樹のファンだと思います。
囲碁のファンよりも百田ファンの方が遥かに多いでしょう。
そんな皆さんにお勧めするのは、
いきなり碁を理解しようとしないことです。
囲碁は理解するのが非常に難しく、コンピューターすら長年人間に勝てなかったくらいです。
(そもそも、出て来る登場人物は全員が現在のプロ棋士タイトル候補だらけです。
マチュア棋士すら理解は難しいと思います)
一朝一夕で分かろうとするのが無理な話です。
ではどうすればいいか。
 
厳しい手・緩い手・激しい手はイメージで
一手一手が激しく交錯するゲームは、現在ならたくさんあります。
格ゲーを始めとするアクションゲー・ボクシング・柔道・剣道……。
あなたの理解しやすいゲームに置き換えてください。
そして、ツギやらカケなどの囲碁用語はとりあえず置いといて、
文章に「厳しい手」と書いてあったなら
柔道なら「執拗な足払いで、対戦相手の痛めた足を狙ってる」
ボクシングなら「何度もボディ打ちしている」
格ゲーなら「壁に追い込まれて逃さない」
などなど。
会社なら「上司からサボリを見つかって説教から逃げられない」でもいいです。
わかりやすいことに置き換えると、読みやすくなります。
囲碁はイメージのゲームなのです。
 
イメージの押し付け合いが盤上で決着する妙技を観戦する
本書にも「囲碁の手は無限大」と書かれている通り、打ち手のイメージで戦うものです。
対戦ゲームでイメージ通りにならずに負けることは多々ありますが、
囲碁ほど未来予想図を押し付け合うゲームもありません。
幸い、著者は碁をイメージさせやすいように書いてくれています。
 
群像劇を見る
それでも囲碁がわけわからない。イメージすら沸かない。
ならば、名人をかけて戦う群像劇として読むのもありです。
囲碁は名人をかけて戦うための刀に過ぎません。
相手の心を叩き切ったものが勝つ、精神の刀です。
ですから、囲碁対局の部分は全部読み流してもいいと思います。
 
願わくば、囲碁を覚えてもらえると嬉しい
ルールは至極簡単。ですが、奥が深い。
深すぎるあまり「神が作ったゲーム」「囲碁の真理は宇宙の真理」など言われることもあります。
ルールは文章でも簡単に紹介できます
・十字に石を交互に置く
・相手の石を囲えば取れる(打つと相手の手を待たずに取れるような自殺手は禁止)
・陣地の多いほうが勝ち
・同じ形を繰り返す場合は、別の場所に一手打ってから。(未来永劫繰り返すことを防ぐ)
ルール説明終わり。
囲碁に興味を持たれた方は、簡単な詰碁からやりましょう。
無料アプリもあります。
私の場合は、グーグルプレイの「詰碁プロ」で毎朝変わる詰碁を解いてます。
 
 
蛇足ですが、
連続アニメ化してもらえないかなー。映画だと薄くなりすぎて、幻庵たちの気迫が伝わらない気がします。
アニメならイメージの押し付け合いも表現しやすいでしょうし。